理容師としての経験を積む中で、私は最初から「いつかは自分の店を持ちたい」と思っていました。雇われている立場では限界があり、「もっとこうしたらお客様にとって良いのに」「こういうサービスがあったらいいのに」という想いが次第に強くなり、独立への意識が確固たるものになっていきました。
独立に向けての準備は決して簡単なものではありませんでした。開業資金の確保、物件探し、経営の勉強……技術だけでなく、経営者としての知識も必要になってきます。さらに、家族もいる中での決断だったため、無責任な行動はできませんでした。
それでも、「自分の理想とするサロンをつくりたい」という気持ちは揺るぎませんでした。そして、29歳のときに独立を決意し、ついに自分の店をオープンさせました。
最初は当然、うまくいかないことの連続でしたが、思ったより早く軌道に乗り始めました。「これからどんどんお店を成長させていくぞ」と思った矢先、東日本大震災が起こりました。
世の中全体が暗くなり、お客様の足も遠のいてしまいました。経営は一気に苦しくなり、「もうダメか……」と何度も落ち込みました。それでも、当時いたオープニングスタッフが支えてくれたおかげで、なんとか乗り越えることができました。お客様が減る中でも、一緒に前を向き、励まし合いながら踏ん張ってくれたスタッフには今でも感謝しています。
この経験を通して、「一緒に働く仲間の存在がどれほど大きいのか」を身をもって知りました。
次回は、独立後にどのようにサロンを成長させていったのか、そして現在の「美容百華」へとつながる考えについて話していきます。